抄録
【緒言】上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(以下OCD)に対する治療は術前画像評価と術中のICRS分類によって決定するが,ICRS分類では骨軟骨片の組織強度は考慮にない.今回,CT西中分類と術中empty signを基に骨軟骨片の温存が可能と判断した1例について報告する.
【症例】15歳男児,左肘痛.半年前から左肘痛を認め,単純X線岩瀬分類で遊離期巣内型,CT西中分類でstage3aのため手術の方針とした.術中所見ではICRS分類OCDⅢだったが,empty signは陰性であった.骨軟骨片の温存が可能と判断し,吸収ピンで骨軟骨片を固定した.3週間の外固定を行い,術後3カ月から投球動作を開始した.部活内のトラブルで野球からは離れたが,術後1年9カ月で良好な骨癒合が得られた.
【考察】CT西中分類で軟骨下骨の連続性が残存し,術中のempty signが陰性であれば,組織の温存が可能と考えられる.