抄録
【目的】UCL近位部は高密度の血液供給がある.PRP療法前後でのUCL近位部の血流速度が変化する可能性がある.UCL実質内の血流速度の経時的変化と靭帯修復,競技復帰の関連を調査した.【方法】対象はPRP療法を施行した野球選手20名20肘とし,靭帯内のPSVをPRP前,施行後1,3,6週に評価した.また,靭帯修復有無と復帰有無を調査し,PSVを比較した.【結果】PSVは施行前4.1 ± 5.0cm/s,1週10.9 ± 4.7cm/s,3週9.4 ± 3.8cm/s,6週7.0 ± 5.8cm/sであり,施行前と比較し施行後1週と3週で有意に血流速度の増加を認めた.また,靭帯修復有無,復帰有無の比較では,ともに3週時点でのPSVが靭帯修復無群,復帰不可群と比較し有意に増加していた.【考察】PRP療法により靭帯内のPSVが増加することが分かった.3週時点での血流速度が靭帯修復や復帰に関連している可能性がある.