2023 年 30 巻 2 号 p. 29-31
小児上腕骨内側上顆骨折に対する腹臥位手術の治療成績について報告する.2017~2022年に腹臥位手術を行い,術後3か月以上の経過観察できた7例7肘を対象とした.男児6例,女児1例,手術時平均年齢は11歳で,Watson-Jones分類は1型が1例,2型が3例,4型が3例で,合併損傷は1例に内側側副靭帯断裂,肘頭骨折を認めた.内固定方法は全例Tension band wiring(TBW)で,手術時間は平均84.1分であった.骨癒合は全例で得られ,手術合併症は自然消失した尺骨神経障害と鋼線のバックアウトによる創部感染を各1例に認めた.最終経過観察時に全例で疼痛の訴えはなく,肘関節可動域は伸展が平均6.4°,屈曲が平均141°であった.腹臥位は肘関節内側が真上を向くため,肘関節に外反力が加わらず,良好な視野の確保と容易な整復が可能となる.その結果として良好な治療成績につながった可能性がある.