抄録
肘部管症候群手術症例を対象に,臨床的特徴や電気生理学的所見,術後成績に及ぼす因子について検討を行った.対象は71肘で,平均年齢59歳,男性44肘,女性27肘,利き手44肘,非利き手27肘,平均BMI 25kg/m2,平均罹病期間13か月,糖尿病合併11肘,頚椎疾患合併19肘,変形性肘関節症18肘,McGowan分類はI度 9肘,II度 23肘,III度 39肘,術者5名,術式は単純除圧16肘,King変法5肘,前方移動術50肘であった.術後2年時点におけるMessina評価基準は優7肘,良28肘,可30肘,不可6肘であり,統計学的に有意な相関を認めたのは術前McGowan分類のみであった.また,電気生理学的検査では7例がインチング法のみで伝導異常を認めた.術前重症度が手術成績に影響することが示され,また,肘上下の伝導速度や振幅に異常を認めない場合にはインチング法が有用であると考えられた.