日本肘関節学会雑誌
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Ⅲ. 外傷・外傷合併症
上腕骨遠位端外側の骨・軟骨欠損を伴った肘関節開放骨折の2例
髙田 寛史西村 大幹松浦 充洋吉田 史郎
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2023 年 30 巻 2 号 p. 94-97

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抄録

【目的】上腕骨遠位端外側の骨・軟骨欠損を伴った肘関節開放骨折の治療において,骨・軟骨再建を行わずに良好な成績が得られた2例を報告する.【症例1】39歳女性,軽自動車乗車中に横転.上腕骨遠位端外側の骨欠損,外側側副靱帯の損傷,橈骨頭の不安定性を認めた.受傷同日にデブリードマンと靭帯縫合,二期的に分層植皮を行った.術後6か月,肘関節の可動域制限や疼痛はなく,介護職にも復帰している.【症例2】45歳,女性.症例1と同様の受傷機転.上腕骨遠位端の骨・軟骨は外側40%程度欠損していた.同日にデブリードマンと外側側副靭帯縫合を行い,二期的に分層植皮を行った.術後8か月,肘関節可動域は良好で,疼痛もない.【考察】今回の2例では骨・軟骨再建をせずとも良好な短期成績であった.長期的には関節症の進行は危惧されるが,腕尺関節まで損傷がない症例では外側側副靱帯再建のみでも良好な成績が得られる可能性がある.

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© 2023 日本肘関節学会
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