2025 年 32 巻 2 号 p. 226-228
上腕骨外側上顆炎に対する複数回のステロイド局所注射加療が誘因と推察された外側側副靱帯(LCL)損傷の症例を報告する.49歳,女性.近医にて2年半の間にトリアムシノロン(1回投与量12mg)注射を計11回受けていた.肘関節内反ストレス撮影で腕橈関節の開大がみられ,MRIでLCLの起始部からの損傷を示唆する所見がみられた.手術は長掌筋腱を用いた靱帯再建術を施行した.長掌筋腱を遠位は輪状靱帯及びLCL remnantにスリットを入れて通して縫着,近位は作製した上腕骨骨孔に通して縫着しLCLを再建した.術後6か月で飲食店勤務に完全復帰した.肘関節内反ストレス撮影で不安定性なし,MRIで再建靱帯の緊張は保たれていた.上腕骨外側上顆炎に対するステロイド局所注射は短期的には有用な治療であるが,漫然と継続することで靱帯損傷などの重大な有害事象を引き起こす可能性があることを改めて認識すべきである.