2020 年 8 巻 1 号 p. 16-25
札幌市真駒内地区では,NPOなどの市民団体が環境に配慮した新しい移動手段の普及を目指した取り組みを行っている。本研究は地域住民がそれらを利用したいと思うかを明らかにすることを目的として調査を実施した。その結果,a) 環境問題の重要性の認知が高いほど環境配慮の責任感が高く,環境配慮の責任感が高いほど環境配慮の道徳意識が高かった,b) 利用意図を直接規定していた要因は環境配慮の道徳意識と社会規範評価および便益評価であり,費用評価と実行可能性評価の効果は有意でなかった,c) 地域愛着は行動意図との相関係数は正であったものの直接効果は負であった。新規移動手段導入の際には社会規範や社会的便益に注目させることが住民の利用を促すと示唆される。