生態心理学研究
Online ISSN : 2434-012X
Print ISSN : 1349-0443
日本生態心理学会第8回大会 オープンフォーラム
大局的な身体協応が達成する体肢間振り子協応
谷貝 祐介三嶋 博之三浦 哲都古山 宣洋
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 13 巻 1 号 p. 49-52

詳細
抄録

 従来の体肢間協応研究では,課題達成に直接かかわる“局所”部位の協応を,身体の一部を固定するなどの実験統制により,“姿勢”と切り離して研究してきた.しかしながら,実践的な運動をより良く理解するためには,“局所”の課題達成を,“姿勢”を含む全身の“大局的な”協応構造から捉える必要がある.本研究では,左右の振り子を音に合わせて動かす課題を二つの条件で行った:immobile 条件(前腕を固定し局所部位のみで行う条件),mobile 条件(身体を解放し部位間を連動できる条件).これらの条件下で,左右振り子の位相モードや課題周波数に応じて,どのような協応構造が出現するのか,局所の課題達成と大局的な協応はどのように関係しているのか,について探索的に比較検討した.分析の結果,身体が解放されたmobile 条件では状況に依存した課題特定的な協応構造が創発し,大局的な協応を妨げることによって課題達成度も低下する可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2021 日本生態心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top