2026 年 18 巻 1 号 p. 18-26
生態心理学は,これまで,医療や看護,特別支援教育,養護,当事者研究といった臨床場面の分析やその課題解決に用いられることが少なかった.本シンポジウムでは,生態心理学の諸概念と研究方法が,臨床場面でいかなる有効性を持ちうるかについて,3名による提題を行う.石渡は,「浦河べてるの家」によって生まれた「当事者研究」を生態学的アプローチから分析することが,いかに障がいの個人モデル/社会モデルを乗り越え,個々のQOLを向上させるのか,生態学的現象学の立場から検討する.黒子は,学校現場における養護教諭の実践を,子どもと環境との相互作用という側面から捉え直す.棚橋は,看護教育における学びと実践の生成過程を,現象学と生態心理学の視座から探究する.