社会科研究
Online ISSN : 2432-9142
Print ISSN : 0289-856X
ISSN-L : 0289-856X
対話を重視した「価値観形成学習」による「倫理」の授業開発 : 単元「ジョブズとゲイツの挑戦-資本主義の倫理的問題を考える-」
胤森 裕暢
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 80 巻 p. 45-56

詳細
抄録

本研究の目的は,公民科で育成する市民的資質の中核として,生徒が現代社会の倫理的問題に対する自己の価値観を主体的に形成していくことがあるという仮定のもと,これを育成する授業構成とはどのようなものか,またそれに基づくとどのような授業が考えられるかを明らかにすることである。本研究の成果の第1は,市民的資質育成の観点から考えられてきたこれまでの学習理論をふまえ,生徒が自ら価値観を形成していくための,他者との対話を重視した「価値観形成学習」の理論仮説を明らかにした。具体的には,生徒が現代社会の倫理的問題を自らの問題として認識し,それに対する自己の価値観を形成する計画を立て,複数の人物モデル及び他生徒との対話を通して自己の価値観を吟味し修正していくのである。第2は,この理論仮説に基づく教材と授業過程,すなわち授業構成の方法を示した。第3は,この理論仮説と授業構成の方法に基づいて,資本主義の倫理的問題(商品の生産のあり方)とそれに対する人物モデル(スティーブ・ジョブズとビル・ゲイツ)を教材にした「倫理」の単元「ジョブズとゲイツの挑戦-資本主義の倫理的問題を考える-」を開発した。

著者関連情報
© 2014 全国社会科教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top