本研究の目的は,歴史教育における歴史を生徒自身が語るものへ変革し,どのように,どのくらい歴史を語れるようになったかを生徒に評価させることで,主体的に歴史を学ぶ姿勢を形成できることを示すことである。
そのため,黄河の洪水ゲームによる中国文明形成の体験を通して,「文明」という言葉の使用法を学習する歴史単元を開発実践し,「文明」をどのように,どこまで語ることができたかを生徒自身に評価させた。そして,生徒の言葉を言説分析し,生徒自身による評価活動が歴史を主体的に学ぶ姿勢を向上させることを示した。
この結果,本研究において,歴史の語りを評価する歴史授業が,より高次の段階へ歴史の語り方を向上させるように主体的に学ぶ姿勢を生徒に形成でき,歴史を語るという語用論的な資質を育成できることを事例的に明らかにできた。