抄録
【目的】筑波技術大学保健科学部附属東西医学統合医療センター(以下、当センター)
における研修生の施術実績を分析し、卒後臨床研修制度について考察する。【方法】調
査対象は2012 ~ 2014年度にレジデントコースへ入所した研修生12名とし、研修生
の基本属性、研修24 ヶ月目までに担当した患者数および初診患者の愁訴を調査した。
【結果・考察】研修生の大部分は新卒者で、学校教育段階から自分の臨床能力の不足を
自覚している者が多いと考えられた。調査期間内の平均患者数は818±163人、平均
新患数は78±25人であった。患者数の推移から、研修1年目では新患を中心とした多
様な症例への施術、研修2年目では担当する再診患者への継続的な施術が中心になって
いると考えられた。愁訴では、①腰痛、②下肢痛、③頚肩部のこり・張りが上位を占め
た。これらは、鍼灸臨床での遭遇頻度が高い愁訴であり、効率的な臨床能力の向上につ
ながっていると考えられた。施術実績の推移から、当センターの卒後鍼灸臨床研修は、
一定水準以上の臨床実績を満たして実施されており、①導入期、②発展期、③継続期、
④移行期の4フェーズに分類されると考えられた。