日本中央競馬会競走馬総合研究所報告
Online ISSN : 1884-4626
Print ISSN : 0386-4634
ISSN-L : 0386-4634
日本の軽種馬における1979年のゲタウイルスの流行
杉浦 健夫安藤 泰正今川 浩熊埜御堂 毅福永 昌夫鎌田 正信和田 隆一平澤 澄秋山 綽
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 1981 巻 18 号 p. 103-109

詳細
抄録

毎年夏から秋にかけてトレーニングセンター (トレセン) および競馬場で発生している不明発熱疾病の原因を解明するために, 1979年の日本国内各地より集収した軽種馬の血清について, ゲタウイルスの血清疫学調査を行なった. その結果, ゲタウイルスがその原因の1つであることが明らかとなった. 特に, 栗東トレセンでは, 7月から10月に発生した発熱疾病馬136頭のうち, ゲタウイルスによるものは50頭 (約40%) であった. 1979年のゲタウイルスの流行は, 栃木県那須郡の生産牧場, 宇都宮育成牧場, 東京競馬場, 美浦トレセンおよび栗東トレセンにおいて, 7月から9月にかけて認められた. しかし, 日高育成牧場および宮崎競馬場においては, 認められなかった. 美浦トレセンにおける1979年の原因不明の発熱疾病馬およびゲタウイルス感染馬の総数は, 栗東トレセンの同期および美浦トレセンにおける1978年のそれらよりも極めて少ないものであった. その原因は, 1978年のゲタウイルスの流行および1979年に行なわれたゲタウイルス不活化ワクチンの野外試験により抗体を保有する馬の数が多かったこと, および広範囲に行なわれた消毒剤および殺虫剤の散布による環境の浄化の結果と考えられる.

著者関連情報
© 日本中央競馬会 競走馬総合研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top