慣用飼養条件下におけるポニーの, 妊娠後期, 分娩, 哺乳期および離乳に至る期間, および産駒の生時から離乳に至る期間の両者について, 定期的に, 血液を採取し, PCVとHb, Gl, TCh, PL, TGおよびFFA濃度を測定して, 正常値を得るとともに, これらの数値の変動要因について検討した.
1. PCVとHb濃度は母馬では, 妊娠後期と哺乳期に減少した. 子馬では生れた直後から概ね60日齢に至るまで減少したが, 以後比較的急速に増加した.
2. 母馬の血清TP濃度は, 妊娠後期から泌乳期の初期に減少した. 子馬の出生時, Glob濃度は低い値を示したが, 約60日齢以後直線的に増加した.
3. 母馬の血清Gl濃度は, 分娩日に高く, 泌乳期間中も比較的高い値を示した. エネルギー要求と, 乳の前駆物質の補給がその要因の一部と考えられた.
4. 母馬の血清TCh, PL, TG濃度は妊娠後期に比較的高い値を示したが, 泌乳期にはTG濃度は減少し, TCh, PLは比較的高い濃度を維持した. この差は, 乳の前駆物質となり得るTGが乳腺に取り込まれるためと考えられた.
5. 子馬の血清TCh, PL, TG濃度は哺乳期に高く, 離乳後低下した.
6. 母馬の血清FFA濃度は分娩日に急増した. これは, 分娩に要するエネルギーを, 脂質の動員によって補ったものと考えられた.
7. 子馬の血清FFA濃度は, 103日齢に至る哺乳期間比較的高い値を維持した.
8. 成長中のポニーの体尺, 体重を定期的に測定した. シェットランドポニーとその雑種の体型は, 輓馬に類似し, 軽種に比べて, 体高に対する, 体の幅と長さが大きかった.
抄録全体を表示