2019 年 19 巻 01 号 p. 178-
東京都A 区の小学校では,音と文字のつながりを学ぶためのリタラシー活動を導入した授業が実践されている。しかし,小学校英語で音に慣れた学習者が,中学校でつまずくことの一つが音と文字の つながりである。本研究では,小中連携を踏まえたリタラシー活動を実施している中学校教員に対す るインタビューから,リタラシー活動を通しての教師の意識の変容を探り,活動の意義を報告する。 協力校の英語科教師を研究協力者としてインタビューを実施した。研究協力者は,小学校で育った 聞く力を活かし音と文字のつながりを学ばせるため,帯活動として中学校1年生にリタラシー活動を実施している。また筆者は,定期的に授業見学と研究協議を行い,実践助言を行ってきた。インタビ ューは文字起こしをした後,複線径路等至性アプローチ (Trajectory Equifinality Approach: TEA) の手順に従って分析を行った。TEA によりリタラシー活動について教員の選択を描き,時間的変容を捉えることができた。結果として,実践の継続を意識し教師がリタラシー活動に臨んでいること,実践中の学習者の様子からリタラシー活動の意義を実感していること,実践後は導入の意義を省察し,実践を 踏まえながらリタラシー活動のカリキュラム見直しを考えていることなどが明らかとなった。