日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
報文
寒天ゲルの咀嚼回数と食片サイズの関係
北出 晶美小林 奈央樹森髙 初惠
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2013 年 60 巻 10 号 p. 554-562

詳細
抄録
15mm立方体寒天ゲルおよび3.5mm立方体寒天ゲルを試料とし,咀嚼の影響が大きい1~10回咀嚼後の食片サイズを測定し,食片を10グループに分類して平均食片サイズを求め,平均食片サイズと咀嚼回数との関係を検討し,食塊のテクスチャー特性および官能特性について考察した.
15mm立方体ゲルでは,食塊を構成する食片サイズの分布は広く,少ない咀嚼回数でも3.5mm立方体ゲルよりまとまりやすいと評価された.
3.5mm立方体ゲルでは,少ない咀嚼回数では正規分布に近い分布を示したが,咀嚼回数が増加すると15mm立方体ゲルのサイズ分布に近い形状の分布へと変化した.3.5mm立方体ゲルでは,少ない咀嚼回数において,平均食片サイズが小さくなると,咀嚼回数に対する食片サイズの減少率が大きくなった.反対に,多い咀嚼回数では,咀嚼回数に対する食片サイズの減少率が小さくなるというクロスオーバー構造を有し,食片サイズに壊れにくくなる閾値があることが示唆された.
嚥下にとって重要なファクターであるまとまりやすさは,食塊を構成している食片サイズの大きさよりも,食片サイズの分散に大きく影響され,食塊は単分散な食片から構成されるよりも,サイズ分布の広い食片から構成される方が,よりまとまりやすくなることが示された.
著者関連情報
© 2013 日本食品科学工学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top