2020 年 20 巻 01 号 p. 100-114
日本では小学校外国語活動・外国語科の先行実施が始まり,主に学級担任が英語を指導する中,学級担任の強みを活かした小学校ならではの外国語教育の在り方を具体化していく必要がある。本研究では「ことばの教育」という視点から,教科書開発を見据える小学校外国語教育の実践が児童のどのようなことばへの気づきを生成させるか,また,授業者による授業実践の振り返りを考察することを目的とする。福井県の公立小学校4 年生32 人を対象にした外国語活動の時間で,授業者(T1)と筆者(T2)は,前時に扱った国語教科書の内容「冬の風景」を導入し,「白」で始まる漢字の組み合わせから,日本語・英語・中国語について考えようといった授業実践を行った。三つの言語の比較によって,児童の発言,振り返り文からどのようなことばへの気づきがあったかが明らかになった。また授業者の省察的授業実践記録から,新しい挑戦に取り組むには,現職教員と大学研究者の真の協働の必要性が読み取れた。但し,複数の言語を取り入れる国語と連携する小学校外国語教育の教材開発は,まだ不十分であることが示唆された。