小学校英語教育学会誌
Online ISSN : 2424-1768
Print ISSN : 1348-9275
ISSN-L : 2188-5966
実践報告
小学校外国語教科化に向けての校内研修体制
― 学級担任の不安軽減に焦点を当てて ―
佐藤 裕子
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 20 巻 01 号 p. 115-130

詳細
抄録

本研究は,小学校外国語教科化に向けて,学級担任の不安軽減を図る校内研修の試行を通して,持続可能な校内研修体制を構築することを目的とする。この目的実現のため,校内研修体制構築では, 1) 管理職との連携,2) 組織の活用,3) 担任の不安に焦点を当てた内容,4) 持続性のある研修の4 点 を方策として,2016 9 月から2018 3 月にかけて行った。研究参加者は,筆者が勤務していた小学校の学級担任32 名とその管理職である。調査にはアンケートとインタビューを用いて行われた。分析対象は,英語授業への教員の意識調査と意欲の変容,組織・校内研修体制の構築における記録である。分析は,アンケートは記述統計で行い,インタビューや研修体制構築の記録については質的に処理した。検証の結果,特に担任の不安に焦点を当てた研修内容による校内研修体制の構築が,担任の英語指導への不安軽減に対して,一定の成果を上げたことが明らかとなった。また,短時間の研修でも持続していくことが,担任の不安軽減に成果をより高めていることも調査結果から示唆された。さらに,管理職と連携した校内研修体制の確立により,校内研修が円滑に継続できることが確認された。 改善点として,今後持続性の高い研修体制に改善していくためには,より良い研修を目指すための研修内容の検証と研修を支える教員の役割を明確化することが指摘された。

著者関連情報
© 2020 小学校英語教育学会(JES)
前の記事 次の記事
feedback
Top