2020 年 20 巻 01 号 p. 84-99
外国語活動・外国語科の活動を通して児童は各単元で設定された様々な英語表現に触れながら学習を続けている。しかし,多くの児童は,各単元の目標表現を単元内の活動では用いることができるものの,既習の表現を目的・場面・状況に応じてその場で用いる即興的なやり取りの会話の場では,適切に使用することができないことが多い。英語表現を実際の会話の中で適切に使用できるようにするには,既習表現を繰り返し使用して定着させるSmall Talk などの活動が有効であると考えられる。本研究では,小学校1 学年から6 学年の各学年で毎時間,帯活動として実施したSmall Talk が,児童の「話すこと(やり取り)」の領域における発話パフォーマンスにどのような影響を与えうるかについて小学校1 学年から6 学年までの児童139 名,及び,中学校1 学年の生徒24 名を対象に調査を行った。調査では,同一のテーマによる2 度の発話パフォーマンスを記録し,1 度目と2 度目の発話総語数,使用した語彙の種類,使用した英語表現について比較した。発話パフォーマンスは,小学生は,7月と2 月に,中学1 学年は,2 学期の間に1 回実施した。実践の結果,次の3 点が明らかになった。①児童生徒の即興的な会話で発話総語数が増加した。②会話で使用できる語彙の種類、英語表現の種類は学年が進むにつれて多くなった。小学校高学年,中学校1 学年では使用できる形容詞の種類が多かった。③小学生は英語の表現を,固まりとして捉えてそのまま別の場面で使用する傾向があったが,中学生は場面に合わせて応用した表現が用いられ,疑問詞を使った文を用いることができていた。結果及び考察に基づき,Small Talk の指導における留意すべき点をまとめ提示した。