2020 年 20 巻 01 号 p. 164-178
本研究は,文部科学省(2017d)が示す『小学校教員養成課程 外国語(英語)コアカリキュラム』に則り,本研究者が教育大学小学校教員養成課程「外国語に関する専門科目」において,2018 年度に実際に大学で行った講義・実習内容を紹介するとともに,2018 年度後期に英語教育専攻以外の学部生150 名に対し実施した事前・事後のアルファベットの音素の聞き取りチェックテストおよびアンケートの結果を検証し,「小学校教員に必要な読み書き指導の知識と技能」について考察・提案することを目的とする。 検証の結果,次の3点が明らかとなった。1)大学生に対し,アルファベットの26 文字の名前読みと音読みの音素を体験的に指導することで,大学生自身の「発音についての自信」が向上した。2)アルファベットの26 文字の音素を体得することで,大学生の「小学生(児童)に教える自信」も向上した。一方で,3)「授業実践に必要な力を習得するための実践の機会が不足している」と学生が感じていることがわかった。これにより,今後小学校教員養成課程において,読み書き指導に必要な知識として,アルファベットの音素の習得を目指すとともに,そのためにより多くの実習の機会を提供することが必要であることがわかった。