小学校英語教育学会誌
Online ISSN : 2424-1768
Print ISSN : 1348-9275
ISSN-L : 2188-5966
研究論文
高学年児童に効果的な授業構成についての一考察
― TBLT 型構成と改訂型PPP・TBLT 折衷型構成との比較検証 ―
瀧本 哲弘
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2020 年 20 巻 01 号 p. 242-255

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抄録

本研究の目的は,大きな転換点を迎える日本の小学校英語教育において,高学年児童に対して,どのような授業構成が効果的なのかを検証するものである。これからの小学校教員の高いニーズは,効果的な授業構成の具体であると考える。そこで,最近の日本の英語教育で主流となっている,PPP 型とTBLT 型の授業構成に着目し,外国語活動研究の重点指定を受けていない,かつ,外国語活動の特別教育課程を実施していない,日本の公立小学校に通う6年生児童42名を対象に,改訂型PPPTBLT 型授業を組み合わせた単元構成(折衷型)による指導とTBLT 型授業のみの単元構成による指導(TBLT 型)の効果を比較検証した。検証の結果,①折衷型の方が,TBLT 型よりも,重点指導項目の正確さと流暢さにおいてが効果的であると考えることができる,②折衷型とTBLT 型では,主体性に差異はないと考えることができる,③折衷型とTBLT 型では,どちらの指導も次の学習への意欲面に効果的であり,折衷型は,児童の産出活動において緊張感を与えているのかもしれないが,適切な範囲のものであると考えることができるという,主に3 つの点が明らかとなった。しかし,これらは,決してTBLT 型授業を否定するものではない。TBLT 型授業は,日本の高学年児童にとっても大いに効果があると考えられる。ただ,日本のような英語を外国語として学習するような環境(EFL 環境)においては,様々な授業を組み合わせて活用するといったような,よりTBLT 型授業を効果的なものにするための工夫が必要であると考えているだけである。

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© 2020 小学校英語教育学会(JES)
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