2020 年 20 巻 01 号 p. 36-51
本研究では,2020 年度からの本格実施に先立ち2 つの小学校でCan-Do 振り返りシートとルーブリックによるパフォーマンス評価の実践を行い,小学校英語における評価の在り方と課題,並びに児童の変容を検証した。A 小学校では,パフォーマンス評価のルーブリックを児童と共有し,自身のパフォーマンスには内容面・言語面において何が不足しているのか,児童自らの力で課題を見つけて取り組んだ。その結果,パフォーマンス直後に記載したCan-Do 振り返りシート結果とパフォーマンス評価の結果から,児童の自己評価と教師の評価に大きなズレは見られなかった。また,児童の自由記述からも,満足度が高いことが見て取れた。一方で,児童個々の能力差が広がることへの対応,3 観点を意識した活動の取り入れ方や,Can-Do やルーブリックを使用した見取りの方法の検討が引き続き評価の課題となった。B 小学校の実践では,単元最後のグループプレゼンテーションに至るまで,社会科で学んだ知識をもとに地域に何があって,何が必要かを考えるリスニング活動や発表準備に至る過程でCan-Do 振り返りシートを取り,授業および指導改善の参考とした。また,パフォーマンス評価のルーブリックを検討する際に,ペアでのやり取り,グループ発表など活動に共通するものと,単元固有のものを児童に問いかける協議も行った。その結果,児童によってはCan-Do 振り返りシートの実施回数に伴い自己効力感を上げ,各々の目標設定が明確化されることがわかった。児童の変容を把握した教師の介入がどうあるべきかについては,今後さらなる研究が必要である。