小学校英語教育学会誌
Online ISSN : 2424-1768
Print ISSN : 1348-9275
ISSN-L : 2188-5966
課題研究
小学校でのCLIL 活動実践とその効果
安達 理恵阿部 志乃樫本 洋子北野 ゆき竹田 里香松延 亜紀安田 万理
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2020 年 20 巻 01 号 p. 384-399

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抄録

英語教科化に向けて,児童が関心を持って取り組める活動を検討することは喫緊の課題である。本研究では,3つの小学校で,担当者が各自で考えたプロジェクト型のCLILを高学年で実践し,事前・事後で質問紙調査を行った。調査内容は,児童の外国語に対する態度や動機づけ,新学習指導要領で育成すべき資質・能力などの情意要因を中心とした27項目である。なお事後調査では,自由記述1項目も設定した。調査終了後,研究代表者が量的分析(SPSS ver.24)を,自由記述に関してはデータ入力担当者および代表者が質的分析(KH Coder3)を実施し,授業担当者と相談しながら,結果について検証・考察した。その結果,事前・事後で差がいずれの学校でもほとんどなかったが,事後の調査における児童の意識やプロジェクト活動に対する態度要因からは「自律英語学習」,「情報収集と問題解決力」,「外国人との関係性」の3因子が抽出され,因子間の相関も高かった。プロジェクト学習は短時間で結果が出るものではないが,これら3因子は文部科学省の提唱する3つの資質・能力に匹敵すると考えられる。質的分析結果も含めて総合的に考察すると,プロジェクト型CLILでは,「英語」を学習するより,自らの学びによる成長が重要と考えられた。

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© 2020 小学校英語教育学会(JES)
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