2020 年 20 巻 01 号 p. 400-415
本研究は,storytelling 活動を通して小学生の英語の読み書き能力を養成するための指導法開発を目的とし,これをLearning by Storytelling と呼ぶことにする。小学校の英語の授業で行うstorytelling は,教師が英語で絵本を児童に読み聞かせ,絵本に親しませる目的で行うだけでなく,児童がやがて英語で書かれたテクストを一人で読むようになるための読解前活動であるという考えに基づき,テクストの読み方及び書き方指導のためのタスクを考案し,そのタスクによって児童がどのようにして読み書き能力を習得していくか調査した。本研究のタスクによって児童の英語のintake 量を増やすことができ,英語でテクストを読むことに慣れさせることができた。また児童の振り返りの内容から,英語で書くときの躓きについて理解することができた。さらに,英語の読み書きタスクを行っていく過程で,児童が自身の英語力について評価をするようになり,何を学ぶべきか考えるようになっていった。特に最後のinterview 活動で児童は,タスクで学んだ英語表現を使って発話することの難しさに気づき,この活動が児童の今後の英語学習への動機づけとなっていた。この児童の発信意欲を発信能力養成へとつなぎ,さらに児童の躓きから英語で書くための指導法を考案していくことが課題となった。