会誌食文化研究
Online ISSN : 2436-0015
Print ISSN : 1880-4403
研究ノート
日本乳食文化の型と普及形態の類型分類―インターネット検索と帯広畜産大学学生レポートの事例をもとにして―
平田 昌弘
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 18 巻 p. 9-19

詳細
抄録

本論文では、乳製品が日常の食生活に豊富に利用されている現在において、日本に普及する乳食文化の特徴を整理するために、日本乳食文化の型を再考し、日本乳食文化に普及する乳製品の形態(採用・変容・融合)を分析することを目的とした。インターネット検索と大学生への食生活調査により事例を収集し、乳製品の利用と調理の仕方、食材と乳製品を合わせる際の主な意図に着目して、日本乳食文化の型を解析した。現在の日本乳食文化の型を検討し結果、既に提起してきた嗜好品、栄養補助食、西洋型の食文化、コメとの融合、発酵食品の他、調味料、楽しみ、そして、揚げ物の8類型が明らかとなった。乳製品は、それぞれの型に応じて、採用、変容、融合して日本の食文化に取り入れられていた。乳製品の利用は、食材の素朴な味わいを邪魔することなく、日本食にはない濃厚さや甘みを足し加え、円みやなめらかな食感にするという付加価値をつけていた。今後も引き続き、乳製品が多くの食品に用いられ、新たなる日本乳食文化が展開していくものと考えられた。本論文で提示した類型分類モデルは、日本乳食文化の特徴分析のツールとして、今後の活用が期待される。

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本家政学会 食文化研究部会
前の記事 次の記事
feedback
Top