林業経済研究
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わが国戦後国有林政策の帰結と21世紀の課題(現代林政の課題と方向を考える-基本法林政30年を振り返りつつ,1995年春季大会論文)
笠原 義人
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1995 年 1995 巻 127 号 p. 23-32

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抄録

本論文は,第一に戦後国有林政策の展開とその帰結,第二に国有林再建政策のあり方,そして第三に具体的政策を提起することを課題とする。国有林政策の展開は,戦後復興期,事業展開期,「経営改善」第一段階期,「経営改善」第二段階期の4期に区分する。国有林政策の帰結は,(1)国有森林が荒廃の度を深め,木材の供給力を低下させ,他方,森林の公益的機能を後退させていること,(2)直接雇用による生産的労働力の激減,(3)木材生産と森林環境管理の現場管理組織の大幅な縮小,そして(4)林業技術の霧散化である。国有林再建のあり方は,林野庁解体論,現行改善計画路線実行論,直営経営基本の抜本的改革論の三つに類型できる。地球規模の環境問題が人類生存の重要課題となっている今日,袋小路の中で縮小・解体の危機にある有林野事業の再建策を,これらのあり方類型の検討を踏まえて具体的に提起することを訴える。

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© 1995 林業経済学会
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