林業経済研究
Online ISSN : 2424-2454
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わが国木材関連企業の海外展開 : その実態と特徴(自由論題論文,1994年秋季大会)
武田 八郎
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1995 年 1995 巻 127 号 p. 149-154

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抄録

1985年以降の異常円高,市場開放を進めた「経済構造調整」下において,わが国木材関連企業の海外展開は新たな段階に入った。それは円高定着によりコストの安くなった海外生産を利用し,日本への逆輸入や開発輸入を図ろうとする企業内国際分業に他ならず,個別資本の利潤獲得を目的としており,必ずしも木材資源確保型の海外進出ではなくなっている。その特徴は,第一に進出資本の多様化である。独自の技術基盤をもつ合板,製材,建材,住宅メーカーといった産業資本がリードしており,総合商社はメーカーの海外進出をサポートする役割へと後退している。第二には90年代になり,大手住宅メーカーの自社向け部材の海外生産工場の建設が相次いでいることが注目される。第三には,進出先も北米,東南アジア,オセアニア,南米に加え,ロシア,中国,北欧へと拡大しており,プレハブ住宅部材,フィンガージョイント材,集成材,パーティクルボード,MDFなどの高度加工木材製品の現地生産が多くなっている。

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© 1995 林業経済学会
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