林業経済研究
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近代韓国林野制度における国有・民有区分の形成過程(自由論題論文,1994年秋季大会)
鄭 夏顕永田 信
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1995 年 1995 巻 127 号 p. 155-160

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抄録

韓国での林野所有区分は1908年の森林法第19条に基づいて始まった。1911年までに地籍の届け出された面積は全林野面積の23%と推察され,多くの私有林が国有林に編入されたと判断される。また,1910年の林籍調査の結果,森林法第19条は社会実情に適合せず且つ無理な規定であることが分かり,森林法は廃止され1911年に森林令が公布された。更に国有林経営上,存置するものと存置しないものとの区分を決定することを目的に国有林区分調査(1911-24)が行われ,不要存林野は植林の推進を目的に貸付等がなされて私有化の契機になった。一方,1910年には土地調査局が設置され,土地の地籍,面積,境界の調査(1910-18)が行われて個人の所有権が確定していった。しかし林野に対しては調査が遅れ,林野調査事業(1917-24)で林野の所有権が確立された。これに加えて,森林令第7条の造林貸付や11条の移民団体に対する国有林野の処分等と,朝鮮特別縁故森林令(1926)によって慣行を尊重しつつ縁故森林譲与処分(1927-34)が行われ,私有林の増加と地方公共団体への譲与が実現した。こうして近代的林野制度が確立してきたと言える。

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© 1995 林業経済学会
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