1995 年 1995 巻 127 号 p. 161-166
1984年から本格的に組織されている韓国の山林経営協業体は,今後の私有林経営の重要な担い手として期待されている。しかし,山林経営協業体に加入している山林所有者は林業収入がほとんどないため経営意欲が低く,また山林所有者の高齢化と労働力不足が進行し,山林所有者の共同労働による協業経営は期待できない状況である。そのため国は山林経営協業体に作業団を組織し,山林事業を遂行するようにしているが,組織された作業団の中にはほとんど機能していない作業団も多く存在している。そこで本研究では,兼業化が進展している地域(蔚山郡)と,兼業化が遅れている地域(鎮安郡)の山林経営協業体とその作業団の現状を具体的に把握するため事例調査を行った。その結果,地域の労働力市場と再生産構造には質的差異があり,山林経営協業体とその作集団のあり方,振興策も地域によって異ならざるを得ないということが明かになった。