林業経済研究
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木材需要拡大期における原木流通構造の変容および森林組合の現状
九州地方を事例に
川﨑 章惠
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2017 年 63 巻 1 号 p. 15-24

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抄録
本稿では,九州地方における2000年代以降の大規模木材需要者の操業・規模拡大と木材流通構造の変化を踏まえ,木材需要の拡大があった製材産地や新設や変化のあった木材流通業者の現状を把握し,木材需要拡大の中で森林組合における経営方針の変化を大分県を事例に明らかにすることを目的とする。九州地方で2000年以降に新設あるいは大きな変化のあった原木市場等10事業所への聞き取り調査の結果,製材産地によっては市売での販売が依然中心であるものの概ね協定取引を増やしており,原木確保においても立木購入を増加させている。また,木質バイオマス発電所向けに施設を拡充したり,新たな販売拠点を開設するなどの対応もみられる。木材需要拡大に対して流通業者では変化がみられたものの,大分県下13森林組合への対面調査の結果,今後は皆伐増加が見込まれ,需要拡大による影響よりも森林経営計画制度への移行に伴った補助事業の変化が経営に影響を与えているとのことである。一方で,素材生産量の大きな5組合では造林・下刈労働力の確保が懸念され,森林組合の計画外での伐採跡地への再造林は担保されていない。一部の木材流通業者には事業として再造林を進める動きがあるものの,将来の木材資源の供給が懸念される。
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© 2017 林業経済学会
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