抄録
九州自然歩道は,環境省が全国に設置している長距離自然歩道の1つであり,豊かな自然に触れることによって,人々の自然環境の保全に対する意識を高めることを目的に整備されている。しかし,これまで,自然歩道の利用と自然環境の保全意識との関係についての研究は充分に行われていない。本研究では,九州自然歩道における訪問者を対象にした現地実施・現地記入のアンケート調査を実施して,利用者の特性と環境意識の解明に取り組んだ。調査は,九州自然歩道上の山頂や登山口の3カ所で,調査員が自記式質問紙を来訪者に配布・回収する形で2015年秋に行った。その結果,利用者の特性としては,自然を楽しむことと健康増進を兼ねて歩いている利用者が多く,7割以上が自然歩道を繰り返し利用しており,日帰りでの短区間の利用が大部分を占めるものの,ロングトレイルとしての利用が1~2割程度を占めていることが分かった。また,環境意識に関しては,九州自然歩道の利用者は,一般の国民よりも自然環境に関係が強い分野での環境意識が高いこと,また利用回数が多い人ほど,より環境意識が高くなることが明らかになった。