抄録
市町村森林行政における独自施策について,独自施策のプロセス,プロセスの運用体制,施策に関わる人材の役割に焦点を当てて明らかにした。研究対象は5自治体6市策とした。独自施策のプロセスは課題設定・内容検討・実施の3段階に区分でき,施策の内容を決めるのは内容検討段階であることから,この段階に特に焦点を当てた。その結果,施策の内容検討を委員会で行う委員会型,自治体の実務職員が施策を具体化する実務職員型,民間企業に検討を委ねる民間活用型の3タイプに区分できた。施策形成にかかわる主体の協力関係が最も良好に発揮されるように3つのタイプが形成されており,また,委員会型と民間活用型では市町村実務職員が外部キーパーソンと自治体をつなぐ役割が重要であった。今後の実務職員の育成・確保には,林務担当への長期配置,専門職採用,インフォーマルな人材・組織との連携構築が重要であることが示唆された。