林業経済研究
Online ISSN : 2424-2454
Print ISSN : 0285-1598
福島県における林業一人親方団体の現状と課題
松崎 誠 興梠 克久
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2022 年 68 巻 3 号 p. 25-31

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抄録

林業経営体は林業労働者の他に,林業一人親方(個人請負人)も活用している。林業一人親方は労働者ではないため,労災保険制度の適用外であり,安全衛生上不利な状態を強いられる。そこで,林業一人親方たちが林業一人親方団体を設立し雇用主と見立てることにより労災保険に入ることができる,労災保険第二種特別加入制度というものがある。しかし,個人請負人であるが故に実際の稼働状況を把握できないという解釈から,労災保険料の算出では給付基礎日額に保険料率を乗じたものに常に365日を乗じなければならず,十分な補償を受けるための負担が大きい。このような制度的な制約以外にも,林業一人親方の福利厚生は労働者に比べて進んでいない。本研究では福島県を事例に,林業一人親方団体とそこに所属する林業一人親方の現状を明らかにし,団体が果たすべき役割について考察する。調査の結果,林業一人親方の労災被災件数の多さや人手不足等の現状があり,林業一人親方団体は①林業一人親方団体の立場としてのさらなる安全衛生対策,②林業一人親方の勤怠管理システムの導入,③林業一人親方団体に未加入の個人請負人の加入促進,の3つの役割を果たすことが重要だと考えられる。

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© 2022 林業経済学会
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