林業経済研究
Online ISSN : 2424-2454
Print ISSN : 0285-1598
国立公園における利用者による費用負担の展開とそのあり方に関する考察
愛甲 哲也 庄子 康深津 幸太郎
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2025 年 71 巻 2 号 p. 26-39

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抄録
国立公園では,自然環境の保全や施設の維持管理のための予算の不足などにより,利用者に費用負担をもとめる事例が増えてきている。入園料や入山料の導入は,審議会等でも度々議論の対象となってきたものの,自然公園制度上に位置づけられるには至っていない。一方で,2023年度の調査では全国の国立公園で127件の入域料,自治体・民間の資金調達,保護と利用の好循環の取り組みが確認されており,年々増加傾向にある。本研究では,国内外の費用負担に関する議論を踏まえて,国内における検討経緯と導入事例を分析した。それにより,どのような事業に予算の不足による影響があるかを明確にし,公費と利用者による費用負担との分担を検討し,事前の調査結果を踏まえて地域関係者と合意形成を行い,公平性に配慮した仕組みづくりが求められるとの結論を得た。その運用において,事前の周知,信頼性・透明性の確保,モニタリングを伴う必要があるが,関連する研究は少なく,その発展が期待される。
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© 2025 林業経済学会

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