林業経済研究
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ヤマイヌの消滅と二ホンオオカミの誕生
ヤマイヌをめぐる言説の混乱とその背景
植松 朔子 竹本 太郎
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2026 年 72 巻 2 号 p. 39-54

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抄録
本稿は,かつて広く用いられていた「ヤマイヌ」という呼称が,近年ではイヌやオオカミ,あるいはその混血として再解釈されつつある状況を踏まえ,その呼称が歴史的にどのように理解され,最終的に「ニホンオオカミ」へと収束したのかを検証するものである。国立国会図書館デジタルコレクション等から収集した404件の資料を対象に,ヤマイヌをめぐる解釈を①日本のオオカミ,②野生化したイヌ,③オオカミとイヌの混血,④オオカミでもイヌでもない獣,の4つのタイプの言説に整理した。また,対象時期を,「豺」の語,本草学の導入以降,リンネ式分類体系の導入以降,形態学的研究の開始以降という3時期に区分し,各時期における言説の傾向と,学問・社会的背景との関係を分析した。結果,各時代を通じて言説は併存したものの,外来の学問の受容や日本犬保存会の活動が解釈の変遷に大きく影響していたことが明らかとなった。「ヤマイヌ」から「ニホンオオカミ」への呼称の転換に伴い,ヤマイヌの解釈は次第にオオカミへ限定され,学術資料から姿を消していった。ニホンオオカミの誕生は,ヤマイヌの多義的な実態からオオカミ的な側面のみを抽出した結果であった。
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© 2026 林業経済学会

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