2016 年 13 巻 1 号 p. 142-144
腹圧性尿失禁に対するTransobturator Tape(TOT)術前後の排尿状態を比較検討した。2007年4月から2014年3月までに当科で施行された87例について手術成績と術前および術後3ヶ月での尿流量測定結果をレトロスペクティブに検討した。平均年齢は65.9歳で、術後、6例(6.9%)では腹圧性尿失禁の改善を認めず、4例(4.6%)に再手術を施行したが、これらは初期に経験した症例であった。術前後に尿流量測定を施行した62例についてQmax/√VVをcorrected Qmax (cQmax)と定義して検討したところ、術前のcQmaxが高い症例では術後3ヶ月でのcQmaxが低下し、報告されている正常成人での年齢平均cQmaxに近似する傾向があった。術後の排尿困難に対して内服加療を必要とした症例では、いずれも術前のcQmaxが低かった。
cQmaxが高いことが腹圧性尿失禁のリスクの一つになっており、TOTにより改善する可能性が示された。また、術前のcQmaxが低い症例では術後の排尿困難に十分注意する必要があると思われた。