脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
症例報告
アルテプラーゼ投与による中大脳動脈再開通後に片側舞踏運動を呈した1例
植村 順一 山下 眞史八木田 佳樹井上 剛
著者情報
キーワード: rt-PA, MCA recanalization, hemichorea
ジャーナル オープンアクセス
電子付録

2023 年 45 巻 2 号 p. 147-153

詳細
抄録

症例は86歳女性.左中大脳動脈(M1)閉塞を伴う脳梗塞に対して,アルテプラーゼ(rt-PA)静注を行い,左中大脳動脈(M1)は再開通した.5日後に右片側舞踏運動が現れた.同日撮影した頭部MRI DWIでは左中大脳動脈後方領域の脳梗塞巣に変化なく,左尾状核から被殻と外側の皮質に新規脳梗塞はなかった.123IMP-SPECTでは左中大脳動脈領域,左基底核は右と比較して脳血流は軽度低下していた.中大脳動脈の血行再建後に不随意運動を呈した症例は,本例を含めて7例の報告がある.本例の片側舞踏運動を生じた機序は,基底核での代謝の亢進により,大脳皮質–大脳基底核ループに影響を与えたと考えた.rt-PA静注による脳動脈再開通後に片側舞踏運動を来した報告は数少なく,貴重な症例と考えた.

著者関連情報
© 2023 日本脳卒中学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top