2017 年 14 巻 1 号 p. 74-80
骨盤底筋体操(以下、体操)の有効性は、一般にも認知されつつあるが、実際には脆弱化した骨盤底筋を随意収縮させることは難しい。パンフレット配布や口頭指導では、具体的な方法の理解と体操の継続は困難であるため、今回、Uクリニックの受診患者を対象に少人数個別対応型の体操教室を実施し、体操の効果についてアンケート調査をおこなった。その結果、症状のつらさは全体的に改善の傾向が示されたが、内省報告より、骨盤底筋の収縮感覚の獲得が、症状改善やQOLに影響を及ぼすことが明らかとなった。また、身体への気づきを骨盤底筋の収縮感覚から深め、様々な主体的取り組みが語られた。体操による自覚的筋収縮感覚への気づきが、症状改善や悪化予防に対して自ら積極的に取り組む動機づけとなり、自身に必要な適切な治療法の主体的選択に繋がる可能性があると考えられた。