2025 年 21 巻 1 号 p. 78-83
骨盤臓器脱(Pelvic organ prolapse : POP)に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術(Laparoscopic sacrocolpopexy : LSC)は高い整復率と低い再発率を有し、標準的手術とされている。しかし、岬角前面での非吸収糸によるメッシュ固定には解剖学的な注意が必要であり、特に異常血管走行の有無は重要である。本研究では、LSCを予定した257例を対象に、術前腹部超音波(ultrasonography : US)による岬角前面血管の走行評価を行い、術中所見との一致率および有用性を検討した。256 例を解析対象とし、USで異常を認めたのは25例(9.8%)、術中異常所見は14例(5.5%)、両者が一致したのは11例(4.3%)であった。USの感度は78.6%、特異度94.2%、陽性的中率44.0%、陰性的中率98.7%であり、精度の高いスクリーニングツールと考えられた。異常血管により術式や運針の変更が必要となった症例は14例であったが、いずれも術後合併症は認められなかった。USは簡便かつ低侵襲であり、LSC術前評価において極めて有用と考えられるが、描出困難例にはCTやMRIの併用を検討すべきである。