抄録
山地斜面における地盤水理構造(地盤構造とこれに規制された地下水挙動)を効果的に把握する手法として比抵抗探査法の適用性を原位置において検証した。基岩地質が花崗岩,花崗斑岩,堆積岩から成る三流域の自然斜面において,それぞれ比抵抗計測と種々の直接的な水文観測(ボーリング孔内水位,間隙水圧計による圧力水頭,土壌水分計付貫入計による土層の体積含水率,流域からの流出量)の結果を比較した。花崗岩流域では,基岩層内(最大深さ8 m)において高密度に計測した体積含水率および基岩内水位と比抵抗分布の経時計測結果の比較から,降雨が基岩層を浸透し,時間遅れを伴って基岩内地下水位の上昇をもたらすプロセスが比抵抗探査法を用いて良好に把握できることが示された。花崗斑岩の流域では,斜面の末端部において土層内の不均質な地下水流動の状況および基岩の割れ目から土層内へ湧出するプロセスを捕捉することに成功した。堆積岩流域では,地盤構造に規制された不連続な基岩内地下水滞の分布状況を捕捉することに成功した。