抄録
近年、東京都をはじめ全国各地でニホンジカ(Cervus nippon、以下シカ)による農林業被害等が頻発している。シカによる被害が深刻な地域では、採食行為により森林の裸地化が進み土壌の流亡が生じる。そのため健全な森林を維持し土壌表土侵食を防止するためには、シカの生息密度を調査し、適切な処置を行う必要がある。本研究ではライトセンサス法を用いて調査を行い、シカの生息密度及び過去のデータと比較した生息密度の変化を解析した。2012年5月から同年12月まで、奥多摩演習林及びその付近の林道において毎月連続して3日間、計15回ライトセンサス法によりシカの個体数をカウントした。調査時は車で調査ルートを時速5km以下で走行し、後部座席の2名の調査員は携帯用スポットライトを用い車両の両側をそれぞれ照らしシカを探した。調査は日没後2時間以内に行った。今回発見されたシカの発見頭数は2011年に行った同様の調査の結果から比較すると大幅に減少していた。今年の調査では、2011年の発見頭数を上まわる月は11月のみであり、他はどの月も下回っていた。