抄録
本研究では,粗石配列の異なる水路式魚道および実魚(平均体長BL=8.7(cm)のウグイ)を用い,配列の違いによる流れおよび実魚の応答について検討した.
そのために,水理実験および挙動実験を行った.その結果,ウグイの遡上率Rrは粗石配列の違いで大きな差異は見られなかった.また,実験流量Qおよび粗石配列の違いに関係せず,ウグイは2~8BL(cm/s)程度の箇所を選好して遡上した.次に,ウグイの遡上時間および距離に着目したところ,Run1(千鳥配列)に比べてRun2(整列配列)において,時間および距離が短縮した.これは,ウグイが前者では水路全体をジグザグに,後者では直線的に遡上しており,Run1に比べてRun2におけるウグイの遡上が効率的であったことを示している.