近年、薪ストーブの導入台数が増加し、薪の需要量も増加している。従来の農山村部での薪の自己調達に加えて都市部では商品としての薪が流通し始めている。本報告では薪の供給主体と流通の実態を明らかにすることを目的としている。供給元である農山村地域を抱える地方都市の岩手県盛岡市を対象に分析を行った。盛岡とその周辺の供給主体は13社で、薪生産業者3社、薪ストーブ販売店4社5店舗、木材加工業者2社、ホームセンター2社4店舗であった。薪生産業者は立木を伐採・搬出・加工している専業業者と、チップ製造の傍ら規格外の木材を薪加工している兼業業者がいた。薪ストーブ販売店は立木伐採から薪販売までを行う業者と素材生産業者から原木を購入し薪加工を行う業者がいた。木材加工業者は製品の加工過程で発生した端材を木質燃料として販売していた。ホームセンターは県外薪生産業者から薪を仕入れ、軽トラックに積載可能な350kgで販売を行っていた。兼業事業者とホームセンターは薪流通の販路の拡大を目指している一方、専業の薪生産業者と薪ストーブ店は薪販売利益が少ないこと、高齢で生産規模の拡大ができないことが課題として明らかとなった。