【目的】東京電力福島第一原子力発電所の事故により,大量の放射性核種が大気中に放出され,高濃度の放射性セシウム(Cs)が含まれる可能性のある堆肥等の施用・生産・流通の自粛が要請された。そこで,異なる空間線量率を示すコナラ林において,落葉の分解にともなう放射性Cs濃度および量の変化を比較することで,落葉堆肥の利用可能性について検討した。【方法】試験は放射性Cs初期沈着量の異なる栃木県内5か所のコナラ林で行った。1m×1m,深さ30cmの底の開いた木枠を設置し,2017年3月にコナラ林の林床に堆積している落葉をかき集め,各木枠内に収まるように敷き詰めて有機物分解させた。3か月ごとに分解中の落葉の重量と放射性Cs (134Cs+137Cs)濃度を測定した。【結果】12月時点での落葉堆肥の放射性Cs濃度と量は,試験開始時の2.6~3.4,1.4~3.3倍であった。12月時点での調査地の地上1mにおける空間線量率は落葉堆肥の放射性Cs濃度と正の相関関係にあった。このことから,12月時点での0.08µSv/h以下のコナラ林において,落葉堆肥の放射性Cs濃度が400Bq/kgを下回る可能性が示唆された。