主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第129回日本森林学会大会
回次: 129
開催地: 高知県高知市(主に高知大学朝倉キャンパス; 3/26は高知県立県民文化ホール)
開催日: 2018/03/26 - 2018/03/29
シカによる森林の食害への対策を検討するには、シカの食性を理解することが重要である。しかし、食性は餌の選び方に依存して決まるため、餌選択性に関する知見も不可欠である。そこで、餌選択性に対する生息地環境と遺伝構造の影響を分析し、シカ食性の特徴を明らかにすることを目的として研究を行った。本研究では東京大学秩父演習林の標高および植生の異なる30地点において、2016年12月と2017年7~8月にシカ糞を採集し、ゲノムDNAを抽出後、餌植物組成とシカの集団遺伝構造を分析した。また、餌選択性を評価するには、対象地域内での餌選択と対象地域外での採餌を区別する必要がある。そのため、餌植物組成と地域植生の非類似度を加法分解し、地域内での餌選択と地域外での採餌の指標とした。各要因が餌選択性に与える影響を解析した結果、餌選択性は冬季より夏季で高く、樹木種数が負の影響を与えたが、対象地域外での採餌は環境要因によらずランダムであった。これらの結果は、奥秩父山地のシカが餌の豊富な夏季には質の良い餌を偏食し、冬季では樹木種数が低下する高標高地などで選択的採餌を行うことを示唆する。