主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第133回日本森林学会大会
回次: 133
開催地: 山形大学によるオンライン開催
開催日: 2022/03/27 - 2022/03/29
斜面における土壌浸食モデルのWEPP(Water Erosion Prediction Project)を流域スケールに拡張したGeoWEPPを複数の森林流域(吾妻川上流域,東京大学生態水文学研究所白坂流域など)に適用した.結果の比較を通して,森林の管理や状態変化が土砂流出に及ぼす影響を検討した.GeoWEPPは多くのモデル・変数で構成されるが,大部分が物理モデルであるため変数の多くは実測可能である.可能な限りの実測データを反映して計算を実施したところ,流域の水・土砂流出量の観測値を良好に再現した.低水時の流量の再現性は低いものの,年間の水収支への影響は小さく,土砂流出量を左右する高水時の流量は再現した.土砂流出量に関して,GeoWEPPにおける河床変動計算は,概念的な変数とも言える河道侵食可能深に基づいてモデル内で陰に実行されるが,侵食可能深の設定が土砂流出量の再現にもっとも大きな影響を及ぼした.長期的な再現計算から,現在の森林流域からの土砂流出は過去に供給された土砂の大小を反映する河道堆積土砂量に支配されると考えられた.したがって,森林の管理や状態変化が土砂流出に及ぼす影響にはタイムラグが生じることとなる.