主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第133回日本森林学会大会
回次: 133
開催地: 山形大学によるオンライン開催
開催日: 2022/03/27 - 2022/03/29
植物を取り巻く環境因子の中でも「凍結」は、水から氷への状態変化を伴い、植物の生育や生存に大きな影響を与える。凍結傷害の主な要因は、細胞外に形成された氷晶の拡大による細胞膜の損傷であるとされている。したがって、細胞膜を取り囲む細胞壁は、組織の凍結挙動や細胞膜の損傷に直接影響を与える部位であると言える。
植物は厳しい凍結温度に適応するために、気温の低下を感知して凍結耐性を向上させる機構を持つ(低温馴化)。低温馴化過程では、可溶性糖や凍結保護タンパク質の蓄積など、様々な細胞応答が誘導される。一方で、低温馴化による細胞壁の組成や性質の変化も凍結耐性の向上に寄与していると考えられるが、その詳細な変化や重要性については十分に検討されていない。
そこで我々は、モデル植物であるシロイヌナズナを用いて研究を行い、低温馴化過程で凍結耐性向上に寄与する細胞壁の変化を明らかにした。本講演では、これまで得られた細胞壁多糖類やタンパク質の解析結果と、様々な植物で報告されている凍結適応機構や細胞壁に関する最新の知見を交え、細胞壁が凍結傷害の低減と凍結耐性の獲得にどのように寄与しているのかを議論したい。