日本森林学会大会発表データベース
第133回日本森林学会大会
セッションID: S5-1
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学術講演集原稿
環境ストレス応答における植物細胞壁ペクチンの機能
*岩井 宏暁
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抄録

植物細胞の最外層に存在する細胞壁は、発生発達に重要であると考えられている。特にペクチンは、細胞接着性を含め発達に貢献しているが、その他にも生物的、非生物的ストレスに対する応答にも関わると考えられている。私たちはその中でも、いもち病菌への抵抗性と重金属耐性に着目し、これらの環境応答におけるペクチンの機能を明らかにすることを目的に研究を行なっている。

 イネいもち病菌に対しては、ペクチン分解酵素を恒常的に高発現させ、ペクチン量が約70%減少したイネを用いて、光条件を変えてその特性を調査した。本発表では、病感染前からペクチン分解物による病害抵抗性遺伝子の発現誘導などのことを通して、病害抵抗性にどのように貢献しているかについて紹介する。

 アルミニウム(Al)は地殻に多く含まれ、土壌酸性化で溶出し植物の根の成長を阻害する。Alの多くは細胞壁に存在し、Alの介在によって多糖の構造や性質が変化し、細胞伸長が阻害されると考えられている。本発表では、Al耐性の低いstar1変異体イネをAl耐性の強い野生型イネと比較することで、イネの根におけるペクチンが、どのようにAl耐性に寄与しているかについて紹介する。

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