日本森林学会大会発表データベース
第133回日本森林学会大会
セッションID: T1-3
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学術講演集原稿
人工林における天然木の実験的な保持は鳥類群集を支持する
*山浦 悠一雲野 明J. A. Royle
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抄録

人工林は世界的に拡大しており、生物多様性保全上の課題が顕在化している。一つの保全対策は人工林内に在来の樹木を保持する「土地の共有(もしくは共用)」で、もう一方は人工林をできるだけ集約的に管理し、天然林を伐採から守る「土地の節約」である。どちらの手法を選択すべきかという未決の問題は、野生生物の個体数が管理強度に対してどのように反応するかを調査することによって解決できる。そこで私たちは針葉樹人工林を伐採する際に広葉樹を残す操作実験を立ち上げ、伐採前後で伐採が行なわれた処理区と伐採が行なわれない対照区で鳥類を調査した。結果は、伐期を通して広葉樹の保持が森林性鳥類の総個体数を増加させることを示した。この正の効果は凹型の形を有しており、土地の共有が土地の節約よりも有利で、小さな収益の減少は大きな保全上の便益を生むことが示された。在来樹木の人工林における保持は認証制度や各種ガイドラインに含めることができるだろう。

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