主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第133回日本森林学会大会
回次: 133
開催地: 山形大学によるオンライン開催
開催日: 2022/03/27 - 2022/03/29
福島第一原発事故から10年が経過し、森林内の放射性セシウムは、その分布が地上部や土壌各層の間で大きく変化する「初期段階」から、分布変化が小さくなった「準平衡状態」へと移行しつつあると考えられている。私たちのグループは、異なる樹種・汚染程度の複数の森林域において、これまで10年間にわたる継続的な放射性セシウムのモニタリングを行ってきた。本研究では、このうち土壌(落葉層・表層0–20 cmまでの鉱質土層)における137Cs蓄積量に注目した。さらに準平衡状態への移行の観点で、各層の137Cs蓄積量がこの10年を経て一定値に収束しつつあるか否かについて、複数の回帰モデルを使った解析を行った。
落葉層の137Cs蓄積量の経年変化は、事故直後に大きく、その後時間と共に指数関数的に減少する、という回帰モデルによって概ね説明された。一方鉱質土層の表層0–5 cmは、現在では137Csの最大のリザーバーとなっており、その蓄積量の経年変化は、事故後から徐々に増加して一定値に収束するという回帰モデルによって概ね説明された。併せて緩衝深度(relaxation depth)などを使った解析からは、現時点では鉱質土層下層への137Csの移行は認められなかった。